理事長挨拶Message from the Chairperson

代表理事就任のご挨拶

理事長 小林 聡

一般社団法人 日本腹部放射線学会
理事長  小林 聡(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 放射線科学)

 先日行われました理事会におきまして代表理事(理事長)を拝命いたしました、金沢大学医薬保健学域医学系放射線医学の小林聡と申します。歴史ある日本腹部放射線学会の理事長を拝命したことは身に余る光栄であるとともに、その大任に身の引き締まる思いです。

 本会の前身である腹部放射線研究会は、1990年に秋田市で開催された日本医学放射線学会秋季臨床大会に併催される形で産声を上げました。ちょうど私が医局に入局した年であり、特に演題も無かったのですが、先輩たちに連れられて第1回の研究会に参加したときのことを昨日のことのように覚えています。

 草創期には打田日出夫先生、板井悠二先生、松井修先生が本会の代表幹事・理事長を歴任され、その後、森宣先生が理事長の時代に研究会から学会へと移行し、南学先生、そして前理事長の陣崎雅弘先生へとそのバトンが引き継がれてまいりました。

 本会のアイデンティティとも呼べる最大の特徴は、演題のほとんどが症例報告であり、画像所見の成り立ちを病理学的に解明するためのディスカッションに重きを置いた全員参加型のスタイルにあります。

 腹部領域の画像診断は肝胆膵、消化管、泌尿生殖器領域などへの細分化が進んでおりますが、本会は複数の会場で並列してディスカッションが進められることはほとんどなく、すべての領域のエキスパートが1つの会場に一堂に会して、画像診断の醍醐味(あるいは真髄)ともいえる「病理学的裏付けに基づいた画像所見の成り立ち」について共に学ぶという形式で行われてまいりました。このことは本会の大きな魅力であるとともに、明日からの放射線診断業務に直結する数多くの知識を得られる、実利に満ちた学会であるとも言えます。

 また、1例1例を大切にし、得られた貴重な知見を後世に残すべく、ほぼすべての症例に関する画像・病理情報を「デジタルアトラス」として保存し、会員がいつでも閲覧できる環境を整えている点は、本会の誇るべき財産です。

 さらに本会は、オーソドックスな症例報告を中心とした radiology-pathology correlation に基づく発表スタイルを踏襲するだけでなく、歴代の理事長によっていくつもの先進的な取り組みが導入されてまいりました。例えば、大会ごとに珍しい疾患を指定して多施設から症例を募集し、その画像所見の特徴を明らかにしていく「大会長公募症例」や、特定のテーマに絞り複数症例で初期検討を行う「Preliminary Research」といった新しいカテゴリーが加わり、学会としても日々進化を遂げております。さらに前理事長の陣崎先生は、新たな発表形式の導入のみならず、学会の持続可能性を担保し更なる発展を遂げるための礎として「国際交流委員会」「将来構想委員会」「学術委員会」「顕彰委員会」という4つの委員会を立ち上げ、新たな学会運営の基盤を築き上げてくださいました。

 近年、若手医師の学会・研究会に対する考え方も変化しており、タイパ・コスパといった効率や実利の追求、あるいは現地参加よりオンデマンド配信を優先する風潮も見受けられます。また、多くの医学系学会において構成員の高齢化が進み、若手の参加が少なくなっている点も課題とされています。私は本会を、腹部画像診断をメインテーマに、参加者が画像診断医に不可欠な「1例1例を大切にし、病理学的裏付けに基づいた画像所見の成り立ちを学ぶ」という姿勢や技術を身につけ、日々の診療に直結する良質な知識を得られる「実用的な学会」としてさらに発展させてまいりたいと考えております。そして、若い画像診断医の方々が腹部放射線診断への理解を深め、共に研鑽を積んでいけるような基盤の構築に尽力してまいる所存です。

 皆様のご指導ご鞭撻ならびにご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。